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歯科クリニックの税務調査

税務調査にのぞむ

税務調査を恐れることは全くありません!適切に医療機関を運営していれば、税務調査は、納税者・調査官・税理士、3者とも時間の無駄に過ぎないのです。しかし、ミスを指摘されることはあります。このミスの金額が大きくなれば、加算税・延滞税という罰金も課されるので、医療機関にとっては痛手です。このミスを無くして、指摘ゼロ(是認)で切り抜けましょう。

著者:フェイス税理士事務所 代表税理士 高田祐一郎(プロフィールはこちら

保険点数と収入金額とのズレ

今回は、歯科クリニック特有の税務調査のポイントについて解説します。まずは、保険点数と収入金額とのズレについてです。これは歯科にかかわらず、医療機関であれば、必ず調査される項目です。まずは、社保・国保・後期高齢者の保険点数×10点を求めます。

例えば、これが1億円になるとします。理論上は、窓口で受け取った一部負担金に、社会保険報酬支払基金等に請求する保険収入を合算すれば、1億円となるはずです。この乖離が大きい場合には、売上除外があるのではないかと調査されます。

売上除外がない場合の主な原因として、院長の家族・従業員・取引先について、窓口負担金を受け取らずに診察していることが想定されます。しかし、保険請求は行います。そのため、窓口負担金(3割など)が、保険点数×10点をした金額よりも、過小になります。

本来は家族などであっても、療養担当規則では、窓口負担金を受け取るべきです。税務上も同様に収入認識が必要です。次のように仕訳を切って、収入を認識するようにしましょう。

  • 家族や親族が患者の場合 :事業主貸 / 窓口保険収入
  • 取引先が患者の場合   :交際費  / 窓口保険収入
  • 従業員が患者の場合   :福利厚生費/ 窓口保険収入

撤去冠売却収入の除外

ドクターは、治療にあたって、患者の歯に詰められていた既存の金歯や銀歯を外します。患者は新しい詰め物をしてもらうと、既存の金歯や銀歯は当然不要です。その金や銀が歯科クリニックに残ることになります。ドクターはそれをストックして、一定期間経過すると、金属業者に売却します。そして、金属業者から売却代金が入金されるという流れになります。

少なくとも年1回程度は売却収入が発生するものと考えられます。こういった雑収入が決算書に計上されていなければ、税務調査において、ドクター個人のポケットに入金されていないかを確認をされることになります。

在庫・仕掛品の計上漏れ

ドクターは、患者の治療内容に応じて、技工所に対して、詰め物や補綴物を依頼します。次回、患者が来院されたときに、歯にそれらをセットすることになります。ここで、技江所から納品されるのが決算日前、患者の歯にセットして収入が発生するのが、決算日後の場合について考えてみてください。

収入と原価は対応させる必要があることから、当期に収入が発生していないものに対応する「仕入や外注費(技工所からの納品物)」は、在庫として計上することが必要になります。

なお、歯科技工所に預けている金属がないか、預け在庫の確認も行われます。

歯列矯正・インプラントの収入計上時期

自費収入の金額が大きくなり、治療期間も長期に及ぶことから、収入の計上時期について税務調査で確認が行われます。

歯列矯正については、国税庁に次の質疑応答事例があります。

歯列矯正には、通常数年の治療期間を必要としますが、歯科医師が歯列矯正治療を行う場合には、矯正装置の代金および装着料のほか、その矯正治療の全期間を通ずる基本料金としての性質を有する報酬(以下「基本料」といいます。)を、治療の開始当初において患者に請求し、一括受領している事例が少なくありません。基本料および矯正料(以下「基本料等」といいます。)については、その収入計上時期についてどのように取り扱うべきですか?

基本料等の収入計上時期については、歯科医師と患者の契約の実態に応じ、次のとおりとなります。

①矯正装置の装着など、一定の役務の提供を行った時に基本料等の全額について請求し受領することとしている場合

 基本料等の全額についてその一定の役務の提供を了した日の収入金額とします。

②期間の経過または役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合

 その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日の収入金額とします。

③①および②以外の場合

  1. 支払日が定められている場合には、その支払日とします。
  2. 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求があった時に支払うべきものとされている場合には、その請求の日)とします。
  3. ただし、1および2のうち、支払日が矯正治療を完了した日後とされているものについては、矯正治療を完了した日とします。

インプラントの収入計上時期についても、歯列矯正と同様に扱えば良いと考えられます。実務的には、インプラント収入は、請求の都度、収入計上されていることが多いと思います。

税務調査を未然に防ぐ対策

税務調査対策として、書面添付制度の活用が有効です。書面添付とは、調査官がチェックする項目について、事前に税理士が適切な確認を行い、決算・申告内容が正しいことを説明する書面を作成し、それを確定申告書に添付する制度です。

この書面を添付することにより、税務署からすれば申告段階で不明点が解消されるため、税務調査対象として選定される確率が下がる傾向にあります。医療法人の書面添付割合は全体の9%、個人クリニックの書面添付割合も極めて低いため、とても有効な税務調査対策といえます。

さらに、仮に税務調査対象に選定されたとしても、書面添付をしていれば、いきなりクリニックへの現地調査とはならず、税理士が税務調査官と1対1で面談を行います。院長先生の同席は不要です。ここで疑義が解消すれば調査終了、疑義が発生したとしても、この時点で修正申告をすれば加算税(罰金)はかかりません。

このメリットしかない税務調査対策を、院長先生のクリニックでも活用してみませんか。

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