【税理士監修】医学部の入学金・学費を非課税で贈与
医学部の授業料
多くの医師の先生や奥様から、教育費のお悩み事をよくお伺いします。
- 子どもを医学部に行かせるための入学金や授業料をどうやって準備したら良いか
- 医学部に進学するための予備校代が毎月100万円もかかっている
- 中学受験のための家庭教師代が毎月30万円もかかるけど何とかならないか
医師であるあなたの背中を見て、一緒に暮らしてきた息子さん、娘さんが、あたなに憧れて医師の道を志し、医学部に入学することになればとても嬉しいと思います。
ここで問題となるのは入学金や学費です。お子さんが2人、3人ともなければ、経済的な負担がとても大きくなります。さらに塾や予備校代もかさむことでしょう。私立医学部に進学となれば、入学金だけで100万円を超え、毎年の学費も500万円近く、6年間で3,000万円以上にもなります。
著者:フェイス税理士事務所 代表税理士 高田祐一郎
医学部の入学金と学費を非課税で贈与
高額な医学部の授業料を捻出する方法として教育資金の贈与があります。祖父母の方からすれば、お孫さんが医学部に入学される頃には、相続税対策が必要となる時期です。生前にできる限り非課税で、次世代を財産を移すことで、相続税負担を軽減していきます。
祖父母の方がお孫さんへ教育資金を非課税で贈与するために、次の2つの税制を活用します。
- 教育資金を非課税で一括贈与
- 教育資金を非課税で必要な都度贈与
教育資金を非課税で一括贈与(特例制度)
まずは「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」と言われるものをご紹介します。祖父母(贈与者)が、30歳未満の孫(受贈者)の教育資金に充てるため、銀行との契約に基づき、贈与した金銭を銀行へ預け入れ、銀行へ教育資金非課税申告書を提出することで、1,500万円までの一括贈与について、贈与税が非課税となる特例です。
受贈者が受け取った預金口座内の1,500万円について、教育資金として払い出したい場合には、その証拠として教育資金として支払ったことが分かる領収書を銀行へ提出する必要があります。銀行の管理のもとで1,500万円を使用するということです。
また、教育資金として1,500万円を一括贈与した場合、長い将来にわたって使用し、すぐには使わない金額も出てきます。つまり、受贈者である孫の預金口座にプールされるお金です。この将来の教育資金に充てるため、孫の預金口座にプールされたお金の贈与についても贈与税が非課税となるということがこの制度の特徴です。高齢の医師の先生が相続税対策としてよく活用される制度です。
メリット :1,500万円という大きな金額を非課税で一括贈与できる
デメリット:銀行での開始手続き、教育資金の領収書の提出等、手間がかかる
教育資金を非課税で必要な都度贈与(基本)
次に、上記の特例制度が普及したせいか、教育資金の贈与について、意外と知られていない基本的なことがあります。これは聞かれて驚かれる医師の先生が多いです。
特例制度を使わなくても、もともと扶養義務者相互間における生活費・教育費の贈与は非課税なのです。扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹、三親等内の親族で生計を一にするものをいいます。つまり、祖父母の方がお孫さんのために、生活費や教育費を負担してあげることは、扶養義務者として当然の行為であり、贈与税は非課税なのです。
ポイントは必要な都度、必要額の贈与を行うことです。渡した教育資金は受贈者の口座にストックされずに、すぐに費消される必要があります。具体的には、医学部4年分の授業料をまとめて贈与するのではなく、大学から請求があった都度、必要額を贈与するということです。このルールを守れば、特例制度のように銀行を通すことなく、非課税で上限なく贈与することができます。
また、贈与者が一括で贈与するよりも、必要な都度贈与をした方が、お孫さんやお子さんが定期的に家に顔を出しに寄ってくれる、感謝してくれる、大切にしてくれるという心理的な効果もあると思います。
メリット :銀行との手続きなしに、非課税で上限なく贈与できる
デメリット:1,500万円という大きな金額を一気に贈与することは難しい