【税理士監修】医療法人の投資促進税制
医療法人で対象となる資産
まずは医療機器は機械装置ではないので、中小企業投資促進税制を適用することは不可能です。医療法人で中小企業投資促進税制を利用できるとすれば、ソフトウェアです。適用対象資産の代表例は、レセコン、電子カルテ、人事労務管理ソフトです。
中小企業投資促進税制は、対象資産の取得価額×7%を、法人税からダイレクトに税額控除してくれる税制です。中小企業経営強化税制は、対象資産の取得価額×10%を、法人税からダイレクトに税額控除してくれる税制です。
そのため、まずは、中小企業経営強化税制を検討し、該当しなければ、中小企業投資促進税制を検討するという流れになります。レセコン、電子カルテは、中小企業経営強化税制の対象になる可能性が高いです。
中小企業投資促進税制を使う場面とすれば、人事労務管理ソフトや会計ソフトということになります。です。
本当は限定されている対象資産
中小企業投資促進税制の対象資産は、詳細に限定されています。
まず、複写して販売するための原本であるソフトウェアや開発研究用ソフトウェアは、適用範囲から除外されています(措令27の6①)。ここは医療法人は関係ないですね。
次に、①サーバー用オペレーティングシステム、②サーバー用仮想化ソフトウェア、③データベース管理ソフトウェア、④連携ソフトウェア、⑤不正アクセス防御ソフトウェアの5つのソフトウェアは、国際認証が必要等といった適用範囲を限定する要件が入っています(措規20の3)。
ここで注意すべきは、①~⑤以外のソフトウェアについては、適用範囲を限定する要件が入っていないことです。つまり、無条件でOKという不思議な状況になっています。
メーカーに確認すると「①~⑤に該当しないから適用できないですね」とよく言われるのですが、①~⑤に該当しなければ、無条件で適用可能ということです。
しかし、ここまでの規定を税務署が把握できているのか疑問です。ソフトウェアであれば、深く考えずに、中小企業投資促進税制が適用されている事例も多いと想像します。