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【税理士監修】歯の治療では医療費控除を活用しよう

実は医療費控除が使える歯の治療は多い

風邪をひいたときには、病院に行って治療を受け、薬局で薬をもらいます。病院での治療代や薬代は医療費控除の対象になります。実は医療費控除が最も活用できるのは、歯の治療なのです。保険の効く歯の治療はもちろんのこと、次の歯の治療も医療費控除の対象になります。

  • 子どもの矯正
  • 入れ歯
  • インプラント
  • セラミック(被せもの・詰めもの)
  • ゴールド(被せもの・詰めもの)
  • ボトックス(歯ぎしり・食いしばりの緩和)

これらは保険の効かない自費治療ではあるものの、「治療」であることには変わらないことから、医療費控除の対象になります。インプラントは高額にはなりますが、金額に関わらず医療費控除の対象になります。

医療費控除の対象にならないのは美容目的のもの

歯の治療がすべて医療費控除の対象になるわけではありません。例えば、ホワイトニングは医療費控除の対象外です。歯を美しく見せるための大人の歯列矯正も対象外となります。これらは治療ではなく「美容目的」と捉えられるため、対象外になります。

歯の治療には様々なものがありますが、医療費控除の対象になるかどうかの判断基準は、治療なのか、美容なのかです。治療であれば、保険が効くかどうかに関わらず、すべて医療費控除の対象になります。

節税効果はどれくらいあるの?

それでは、医療費控除を使った場合、どの程度の節税効果が見込めるか試算してみましょう。
例えば、年収800万円のサラリーマンが、医療費として60万円を使った場合はどうなるのでしょうか?

医療費控除の対象になるのは、医療費から10万円を控除した残りの金額です。医療費60万円-10万円=50万円が医療費控除の対象になります。

年収800万円であれば、税率はおおよそ30%です。医療費控除50万円×税率30%=15万円の節税効果になります。つまり、実質的には15万円引き(3割引き)で、治療を受けられたというイメージになります。

子どもに矯正をしてあげたいけど、費用負担が・・・というお父さん・お母さんも多いと思いますが、医療費控除を使うことで、コストを抑えながら、お子さんに矯正を受けさせてあげることができます。

確定申告の仕方

医療費控除は年末調整で受けることはできず、必ずご自宅の最寄りの税務署へ確定申告を行う必要があります。医療費を支払った翌年の3月15日までに確定申告を行う必要がありますが、医療費控除のみの還付申告であれば、翌年1月1日から5年以内に行えば大丈夫です。込み合う時期に、確定申告相談会場へ行く必要はありません。

医療費の領収書を確定申告の際に、税務署に提出する必要はありませんが、5年間はご自宅に保管するようにしましょう。
 
これまで歯の治療をしたものの、自費治療だから医療費控除の対象外と思って、確定申告をしていなかった人でも、5年間は遡って還付申告をすることができますので、ご安心ください。医療費控除だけなら簡単なので、税理士に依頼する必要もありません。分からなければ、税務署に電話相談しながら、ご自身で還付申告にチャレンジしてみてください。

医療費控除の増やし方

医療費控除は増やすことができます。増やすことによって、節税額を増加させることができます。

①家族の中で最も年収の高い人に医療費を集める

まず医療費控除は、家族の中で最も年収の高い人の確定申告で、まとめて適用を受けましょう。医療費控除の対象になるのは、医療費から10万円を控除した残りの金額になりますので、医療費を夫婦それぞれで申告すると、10万円×2人=20万円が控除されてしまい損です。

所得税は年収の高い人程、税率が高くなるため、家族の中で最も年収の高い人(例えば夫)で受けた方が有利になります。

同居しているご両親の医療費、大学に通うため一人暮らしをしていて仕送りをしている息子さんや娘さんの医療費、仕送りをして生活の面倒をみてあげている遠方のご両親の医療費についても、生計一(財布はひとつ)の家族の医療費として、医療費控除に合算できます。

②交通費も医療費控除の対象

次のポイントは交通費です。病院や歯科に通うためにかかった電車・バス代やタクシー代は、医療費控除の対象となります。電車・バス代は、領収書をもらうことがないですが、ご自身で記録をすることで、医療費控除に加算することができます。ただし、ガソリン代や駐車料金は、医療費控除の対象になりません。

医療費控除を上手く活用しながらコストを抑えて、心身の健康のために満足のいく歯の治療をしましょう。