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個人開業医の経営強化税制

個人開業医も中小企業経営強化税制の対象

個人開業医が使える税額控除のうち、控除率が10%と最も高い中小企業経営強化税制について説明します。

まずは、中小企業経営強化税制は、事業所得で使用する固定資産に限定されていることが重要です。つまり、個人開業医が収益不動産を所有していて、その不動産所得で使用するために取得した建物附属設備や器具備品は、この税制の対象外ということです。

税額控除限度額も、所得税のうち事業所得に対応する所得税×20%が限度になっています。所得税の確定申告をする際には、明細書の記載方法も参考にしましょう。

特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書

対象となる資産とは

対象となる資産は、建物附属設備、機械装置、測定工具および検査工具、器具備品、ソフトウェアの5つです。

個人開業医が、機械装置、測定工具および検査工具を取得することはまずないと思いますので、中小企業経営強化税制の対象となる資産として、個人開業医が取得する可能性があるものは「建物附属設備、器具備品、ソフトウェア」の3つということになります。

医療機器や建物附属設備は対象外

中小企業経営強化税制は、医療機関特有の取扱いに注意が必要です。

医療保健業を行う事業者が取得する医療機器や建物附属設備は対象外(中小企業等経営強化法施行規則8条)とされています。医療機関は、医療保健業を行う事業者に該当しますので、医療機器や建物附属設備は対象外ということになります。さらに、医療法人で介護事業を行う法人もあります。

それでは、医療保健業に介護事業は含まれるのでしょうか?答えはイエスです。医療保健業の範囲は、法人税法の収益事業の定義を準用して判定するので、介護事業も含まれます。つまり、クリニック、病院、介護事業で取得する医療機器や建物附属設備は、この税制の対象外ということになります。

医療機器以外の備品とソフトウェアが対象

結果的に対象となるのは、「医療機器以外の備品」と「ソフトウェア」の2つに限定です。実務でよく出てくる対象資産は、レセコンや電子カルテです。これら購入する際は、ソフトウェア部分およびハード部分について、A類型の証明書が出ないか、必ずメーカーに確認するようにしましょう。

これらは所有権移転外リース契約で取得されることも多いです。資産計上または賃貸借処理のいずれの経理処理を取っているかにかかわらず、税額控除の対象となるのは、「リース料総額×10%」になります(法基通7-6の2-9)。

なお、レセコンや電子カルテ以外のソフトウェアは、A類型の証明書が出にくいという話も聞きます。この場合は、中小企業経営強化税制(取得価額の10%税額控除)よりも、控除額が低い中小企業投資促進税制(取得価額の7%税額控除)に移行して、検討することになります。

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