【税理士監修】在宅医療へのチャレンジ
在宅医療が拡大する理由
在宅医療が拡大する背景には、①患者の視点と②社会保障の視点があります。
①人生の最期に、多くの患者が自宅で医療や療養を受け、最期を迎えたいと考えています。
②入院患者を早期に退院させて、在宅医療に移行すれば、医療費・介護費を大きく減らすことができます。
2017年の在宅医療を受けた患者数は71万人です。2040年には118万人と、1.7倍に増加することが見込まれています。
そもそも在宅医療とは何か?
①往診と②訪問診療を組み合わせた医療を「在宅医療」といいます。
①往診は、急な状態悪化などの場合に、患者または家族が医療機関に診療を求め、医師が必要性を認めて、患者の自宅に訪問して行う診療のことをいいます。往診は緊急的な診療であり、同意書を作成する必要はななく、診療回数の制限もありません。
②訪問診療は、患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に、定期的に訪問して行う診療のことをいいます。訪問診療は計画的かつ定期的な診療であり、訪問診療を行う際はあらかじめ同意書を作成 し、患者 または家族等に署名してもらう必要があります。訪問診療は、一部の患者を除いて週3回 までしか行うことができません。
在宅医療は、往診、訪問診療ともに、原則として医療機関の所在地か ら16km以内に提供範囲が限られます。在宅医療を提供できる場所は、居宅および医師の配置が義務づけられていない施設です。
在宅医療の診療報酬の点数
在宅医療の診療報酬の基本となるのが、①在宅患者訪問診療料と②在宅時医学総合管理料 または施設入居時等医学総合管理料です。要支援・要介護認定を受けている患者の場合は、さらに、介護保険の居宅療養管理指導費も算定できます。臨時往診を適宜行っている場合には、往診料も算定可能です。①と②の報酬は原則としてすべての患者に対して毎月算定する報酬項目となります。
在宅医療の診療報酬の構造は、下図のとおりです。
医学総合管理料が利益のポイント
戸建て住宅等の居宅の患者を訪問診療した場合に算定する「在宅時医学総合管理料」と施設に入所する患者を診察した場合に算定する「施設入居時等医学総合管理料」は、在宅医療の収入の大部分を占めます。
これらの医学総合管理料は、状況によって点数が大きく変わるので、入念なリサーチ及びシミュレーションが必要です。
在支診など、在宅医療を提供するどの診療所類型に該当するのか
戸建て住宅へ訪問するのか、サ高住・グループホーム等の施設に訪問するのか
月に1回または2回以上訪問するのか
重症患者を訪問するのか
参考・引用文献:在宅医療経営・実践テキスト(大石佳能子氏・㈱メディヴァ)